核家族化が進む現在では、親子で同居する世帯が減っていますね。
「核家族」とは、夫婦と未婚の子供だけの世帯の事。
簡単にいうと、お父さん、お母さんと子供だけの世帯で、おじいちゃんやおばあちゃんは別々に住んでいる世帯の事です。
数十年間は、夫婦に子供、おじいちゃんにおばあちゃんの大家族の世帯が多かったんですが。
そう考えると、なんか寂しい時代だな、と思ってしまいます。
ただ、別居はしていても親に仕送りして、経済援助だけはしている、という人もいます。
そうすると、仕送りすることで生計が一緒ということになるわけですが、
その場合、所得税や住民税が節税できるというメリットがあるそうです。
本当にそんなメリットがあるんでしょうか?
まあ、節税だけが目的ではないけれど、せっかく経済援助のために扶養しても、
僕の家計が厳しくなるようでは困りますからね。
扶養することのメリットを知っておいた方がいいでしょう。
そこで、市役所の税務課に努めている友人に、相談してみることにしました。
税金対策で親を税法上の扶養に入れるメリットとデメリット
そもそも扶養とは、経済的に親族の生活を援助することなんだ。
配偶者、君の場合は奥様だね。
そのほかに6親等内の血族(直系親族の兄弟姉妹、もしくはその子など)や
3親等内の姻族(血族の配偶者やその親族)が扶養親族になるので、
親も扶養に入れることができるんだよ。
扶養と言っても、所得税や住民税の扶養と社会保険の扶養の2種類があるんだ。
税金面の扶養に入れるためには、条件を満たさないといけない。
(1)所得税や住民税の扶養
・親の年間所得合計が38万円以下
・生計をともにしていること
・扶養は、経済的に援助するためのものだから、親には所得の上限が定められてる。
・別居していても、資金援助している金額が少ないと扶養にならないから。
(基準はないが、経済援助と言える額)
簡単にいうと、こんなところだ。
親の年齢が70歳未満の場合の所得控除は
38万円
住民税の減額は
33万円
70歳以上だと
所得税は
48万円
住民税は
38万円
となる。
つまり、親を扶養に入れる最大のメリットは、税金が課税される所得額
(年間所得+38万円以下-控除額)
が、少なくなるから納める税金も少なくなる。
所得に算入する親の所得が、控除額よりも少ないからね。
君はサラリーマンだから、
所得税はその年の税金から還付され、住民税は翌年から減額されるよ。
(2)社会保険上の扶養
次は、社会保険
年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者であれば180万円未満)
別居の場合は、親の収入が君からの援助額未満であること
同居の場合は、親の収入が君の収入の半分未満であること
この要件を満たすと、君の扶養家族として社会保険に加入できる。
つまり、医療費控除の額に算入できる。
これは所得税控除に関係する話なんだけど医療費控除は、
その年の医療費の額が10万円を超えた場合は、
それ以降の金額をその年の所得から控除できる。
親の医療費を加えることで、医療費控除が受けやすくなん。
これが、社会保険での税制上のメリットだ。
ここまでは、いいよね。
では、つぎはデメリットの話し。
まず、親が75歳以上の場合は、後期高齢者医療制度に移行するんだ。
だから、君の健康保険からは、抜けることになる。
そうすると、さっき話した医療費控除の対象からも外れることになるよね。
親が健康でいてくれることはいいことだけど、やっぱり年齢なりに病気やけがをすることも
多くなるだろ。
だから、医療費控除が受けられないのは、所得税控除の面では大きなデメリットだと言えるね。
さて、社会保険の中で高齢になると気になるのが、高額医療費や介護保険だ。
高額医療費も介護保険の場合も、世帯の収入によって負担する額が変わってくるので、
扶養によって、君の収入が加わることで負担割合が大きく変わる。
例えば介護保険の場合は
2人以上の世帯で、「年収が463万円以上」の場合だと「3割負担」になるんだ。
346万円以上だと「2割負担」
それ以外は「1割負担」なので、
年収が少ない世帯の方が断然負担は少なくて済む。
介護度が大きくなれば、それだけ負担する金額も大きくなるから、
税金の面だけで考えないで、
将来の病気や介護のことも含めて親とよく話し合ってから決めた方がいいよ。
まとめ
別居中の親を扶養に入れるときは、
税金と社会保険の両方で考えないといけないことが分かりました。
税金では、所得税や住民税が還付、減額されるのでメリットが大きいです。
一方、社会保険では高額医療費や介護保険など、世帯所得による負担額も考えないと
病気や介護が必要になった時に、家計への負担が大きくなります。
高齢化が進む現在では、親が病気や介護状態になってしまった時のことも考えて、
扶養にするのかを判断したほうがいいでしょうね。